2015年12月25日金曜日

新種の深海ザメ、その名も「Ninja」

世界のサメ学者から素敵なサメ情報のプレゼントが届きました。

アオザメに乗ってプレゼントを配る南半球のサンタが持ってきてくれたのは、コスタリカ産の深海ザメ(水深800~1300mほど)の一種として登録された「Ninja Lanternshark」(学名:Etmopterus benchleyi)。

デイリーメールでの記事

 英名の由来は、このカラスザメの仲間が、カウンターイルミネーションという自らを光らせて光の中に紛れ、敵を欺くという術を身につけていることから、こちらを発見されたVicky Vasquez(ビッキー・バスケス)氏が8歳のいとこへ、こんなサメがいると話したところ、

「まぁなんて面白い、まるで忍者ね!」と発言したことからこの名前になったそうです。

 和名はニンジャザメとなるのでしょうか? ニンジャカラスザメ、カラスニンジャ、カラステング、ニンジャガラス…。まぁどこかの水族館か偉い先生がいい和名を付けられるでしょう。

 さてこの「ニンジャザメ」、学名もまた面白いのです。
 属名という仲間のグループを示す部分はカラスザメ属なのですが、種を示す「種小名」の部分が、かの「Jaws」の原作者である「ピーター・ベンチュリー(Peter Bradford Benchley)」 の名にちなんだものだそうです。
 カラスザメは、ホホジロと似ても似つかぬぐらい小型で、大きくても50センチぐらいで色も黒一色の地味なサメです。
 なーんでか!

 ホホジロザメのようなサメはほっといても関心が向けられるのに対して、このようなニッチな深海ザメは、見過ごされがちで種の存在を知られる前にいなくなってしまうかもしれない、だからホホジロじゃないサメも知ってもらおう、という意図があるようです。

  クリスマスにちなんだ色とりどりのイルミネーションが夜の街を照らし、彩りを与える中、深海では今日も深海ザメが、光の届かぬ海で明滅しているのですな。光るといっても生きているうちで、死んだカラスザメをモミの木に吊るしても光りませんので悪しからず。

 ♪真っ黒からだのカラスザメさんは、いつも獲物に忍び寄り、暗い海ではピカピカの発光器が役に立つのさ!(♪赤鼻のトナカイで無理やり歌ってください)

 というわけでさっそくサメリストもおそらく今年最後の更新で、新種を追記しました。
 
 サメリスト(サメ全種500種類以上の一覧)

 新種の深海ザメ解説動画


2015年12月22日火曜日

子子子子子子子子子子子子子(ネコザメ)

表題は頓智のようなものです。お気になさらずに。

三重県伊勢志摩にある志摩マリンランドで、ネコザメが卵から孵化しその赤ちゃんが展示されているとのこと。

 ネコザメの子どもと卵

 4月に産卵された卵が無事に孵り、ちっちゃなネコザメを展示中だそうです。
 ネコザメのこどもは、棘が鋭く背ビレも大きめで大人と比べるといろいろデフォルメされてとてもかわいいものです。

 トラザメやナヌカザメがポンポコ卵を産むのに対して、ネコザメはあまりそういった傾向がない様子。ネコザメの卵は、まるでコンブがぐるぐると渦を巻いたようなドリル型で、母ザメはその卵を口にくわえて岩場にねじ込むそうです。

 流されたり他の生き物に襲われない様にとの親ザメの愛情を感じます。

 志摩マリンランドではこういった小ザメの展示を見られることが多く、他館で常設する展示があまりないゆえに貴重なものとなっています。
  日本では唯一飼育されている、ハナカケトラザメという種類もこちらで見ることができます。(しかしながらと日本である施設が入手したとの情報も…リサーチ中)
 以前はマンボウとサメとの混泳が見られましたが、今はやっていないようです。

 ドチザメを下からのぞける水槽やなんかもありますし、意外と楽しめる要素の多い隠れスポットです。伊勢志摩方面にお越しの際は、ぜひこちらへ。

 サメのいる水族館

 また年明け一月中ごろまで、鳥羽にある「海の博物館」で、「サメはこわい?おいしい?役に立つ?」という特別展も開催していますので、そちらへもあわせてどうぞ。


題名の答えは「ネコの子、子ネコ、獅子の子、子獅子」という平安時代の言葉遊びです。

「孑孑孑孑孑孑孑孑孑孑孑孑」←これは読めますかな? ヒント:夏場の水がめ

答えは「ぼうふらぼうふらぼうふらぼうふらぼうふらぼうふら

2015年12月15日火曜日

アパレルサメグッズ(超上級者向け)

 世にサメファッションというものがあるならば、それはサメの形をあしらったデザインの既製服などでしょうか。

 サメの模様が描かれた服などは、明らかにサメ好きのアピールにはもってこいでしょう。

 ジョーズの描かれたTシャツや、サメの絵柄の入ったワンピースなど、マイナーながらもしっかりとサメが描かれたものはサメ好きのハートを射抜く魅力があるに違いありません。

 しかし、私のような隠れサメファン(サメ好きを見た目であまり押し出さないタイプのサメ好き) は、ワンポイントの図柄など控えめなものが好みです。

 年に数回しか服を買わないようなイケてないオタク、もとい地味な私ですが、そんな私にぴったりの、控えめなサメシャツを見つけました。

 
有名大手アパレルより製品化

 ? ? ?
  
 どこがサメやねん!」と思われたあなたは正しい。
  どうみてもサメにつながるようなシンボルなどないように見えるこのシャツ。むしろ後ろでチラ見するサメの方に目が行くでしょう。あれはカレンダーです。
 ではなくて、よーく見ると白い粒のようなものが描かれています。



 いわゆる「ペイズリー柄」と呼ばれるこの勾玉模様。私には、あるサメの歯を連想させるのです。
世界で二番目に大きい魚類、プランクトン食で、ワシントン条約付属書Ⅱ類で、学名を“Cetorhinus maximus”と呼ばれるあのサメです。


  もったいぶりましたが、そう「ウバザメ」です。

 元より歯のないサメ扱いされるウバザメの、よりにもよってその歯が描かれているように見える私は、お察しください、重症患者です。


 たまに服を買いに行くだけでこれですから日常生活に支障の出るレベルでサメに毒されているといってもいいでしょう。ご愁傷様です。


 ちなみにこのシャツ、私の中ではかなり派手な部類です。ゆえにあまり似合わないのです。

同じサメ模様なら、鮫小紋の方が似合うようなヒトです。


 むしろ、「それってウバザメの歯をモチーフにしてる柄に見える!」などと面と向かって言われてしまっては私の立つ瀬がないのです。面倒臭いお人ですね、本当に。

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 

 ウバザメの歯の拡大図(CNN) ビデオではなく中段の写真に注目
 
アクアワールド大洗の剥製は、歯もきちんと再現されています。

2015年12月10日木曜日

サメの歯と矢じりの関係 和歌山県立博物館でみた石鏃

先日、和歌山市へ行った時のこと。

 和歌山城と和歌山県立博物館(私がよく行く「和歌山県立自然博物館」ではない方の博物館)を訪れました。

 和歌山城は、紀伊藩の藩主が住まう御三家のお城らしく、市の中心部ながら小高い丘に建つ立派な城郭です。現在の天守や櫓は戦時に焼失したものをあらためて復元したものです。




 その和歌山城の南側に道路を挟んで現代建築の建物が居並び立ちます。
  それが和歌山県立博物館と和歌山県立近代美術館です。

 美術館の方は、美術の心得のない私にはあまり縁がありません。
 実は博物館で催されている「企画展 鯨とり -太地の古式捕鯨-」を見に参ったのです。(現在は終了しています)



 そしてミュージアムトークと称して学芸員による展示解説がうかがえるというので、その機会を狙って訪れました。

 展示されている捕鯨の由来を示す古文書や、絵巻物に見られる実際の捕鯨の様子など、「いさな(勇魚)」と呼ばれていたクジラとのサシの命のやり取りがパノラマで見られました。
 クジラを絵で紹介する巻物の中に、いらぎ(アオザメ)や、かせぶか(シュモクザメ)の描写もありました。(ようやくサメが出てきましたね!)

 海外から指弾を受ける現代捕鯨ではありますが、組織だった古式捕鯨の始まった江戸初期に紀州では三か所の鯨組があったそうです。
 太地はその中でも大名お抱えではない唯一の組織で、特に優れたチームワークを発揮したそうです。このあたりの由来や矜持を知れば、捕鯨というものに特別な思いを抱かざるを得ません。

 しかしまことに残念ながら、明治期の米露の近代捕鯨の台頭によって鯨類を激減させられた日本近海でその活路を失い、さらに「大背美流れ(おおせみながれ)」という捕鯨史上最悪の災禍に見舞われ、 古式捕鯨は歴史の幕を閉じます。
 この災禍をあるブログで知り、歴史小説で読み進めるうちに古式捕鯨に大変興味を持ったのです。

 当日は熱心な見学者が10数名来られ、学芸員の方と質疑応答をされていました。解説トーク後は、私は予備知識も少ないので展示を丹念に見ることに努めました。

 一通り展示を見た後、その裏側に当たる場所で常設の和歌山県下の遺跡などの発掘品も展示されていたので、余力のあるうちに見学しました。本来の県立博物館の展示群は、発掘した遺跡や古文書などによる生活様式や文化の紹介です。

 すると縄文期の生活を示す発掘品のなかに、田辺市の高山寺貝塚のものがあり、なんとそこにはシカやイノシシの骨に混じって「アオザメの脊椎」があったのです。つまり狩猟や漁労を営み、捕れたアオザメを食べていたということです。

  
弥生時代のものとされるサメの椎骨(海の博物館 サメ展での展示)

 サメの歯は化石になるといいますが、脊椎も石灰化が進んでいますので大型のものはこのように形を残すようです。

 そして同じようにサメの歯も展示してあると思って眺めておりましたが、それはサメの歯によく似た「石鏃(せきぞく)」、つまり矢じりだったのです。
 まるでアオザメの歯のような形状をした石片が無数ありました。

 これはアオザメの歯を加工したものでなく、それに似せたもので鋭い矢じりとして用をなしていたようです。ニカワで矢竹の先端に固定して使うことが多かったようです。海幸彦山幸彦のお話がこのような海と山の混在からも推し量れます。

 調べてみますと、吉野ヶ里遺跡ではサメの歯から加工した矢じりが見つかったほか、岡山の遺跡でもサメの脊椎が装飾品として見つかり、 さらに大阪の遺跡でもこの「サメの歯型」石鏃は出土されたそうです。

佐賀県高志神社遺跡
岡山県彦崎貝塚(個人サイト)
大阪府大和川今池遺跡

 私は決してサメ目当てにこちらへは訪れませんでしたが、結果としてサメに誘われてしまいました。それぐらいサメはありふれたものである、と思えばどうということはありません。

 私たちが今ファッションとしてサメの歯を身につけるのは、こうして海に関わってきた古代人の記憶の断片を照射しているにすぎないのでしょう。

 惜しむらくは、私たちは古代ほどに海の恵みへ感謝の念を抱かず、サメも食材として縁遠くなってしまったことです。
 縄文人はサメをどう食べていたのか、そこまでは解説されていませんでしたが、大きな獲物だったであろうアオザメは、胃袋を満たし、装飾品や武器として生活を充足させる価値を持った生き物であったに違いありません。

 現代人は、果たしてサメという生き物に価値を認めているかどうか。
 鳥羽の海の博物館で、田中彰先生が語った「キーストーン種」という頂点捕食者を指す言葉がサメを見るにあたって優れた視点のひとつであると思えます。

 この話はいずれまた…。

2015年11月16日月曜日

鉄腕ダッシュ(NTV)で、サメのすり替え事故(ホシザメ→トラザメ)

TOKIOがアイドルの副業の傍ら、農作業や肉体労働で働く様子を克明にとらえたドキュメンタリー風バラエティ「鉄腕ダッシュ」が好きでほぼ毎週見ております。
 その中のコーナー、横浜市某所が舞台の「ダッシュ海岸」も私のお気に入りのコーナーであります。

 昨日は、ダッシュ村から飼われていた柴犬の「北登」くんの傘寿祝いと称して、おいしい魚を求めて内房で漁をするというものでした。

 その中で、東京湾にもたくさん棲む「ホシザメ」が刺し網でかかり、その解説シーンの一部を見た瞬間、飲んでいたお茶を豪快に吹き出してしまいました。

 ナレーション「名前の由来は…体についた星のような模様」

 ババーン

©NTV
 
 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

おれは ホシザメの解説を聞いていると思ったら、

いつの間にかトラザメを見ていた

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

おれも 何が起こったのか わからなかった…


頭がどうにかなりそうだった… 深海ザメだとか人食いザメだとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…



これって「トラザメ」じゃん!!

なんでなんやー! なんでサメがいれかわっとんのやー!
 (城島リーダー風に)

割どうでもいいバラエティならこんな記事は書きませんが、 よいコンテンツの番組だけに「ああ、もったいない」との思いがこみ上げてきました。

星模様があるのが名前の由来(諸説あります…干すサメとの話も)というのもその通り、ホシザメのおいしいサメという解説がきっちりしているだけに、練り物にしかならないトラザメを載せてしまうとは…。
 リーダー渾身のダダスベリダジャレも、頭に入ってきません。

 サメの表記、画像掲載は正しく行いましょう!

 
ホシザメ(Mustelus manazo


 Haieからのお願いです。

2015年11月15日日曜日

見えないだけで「そこ」にいます。(サメが生きている痕跡)

サメの歯入り小瓶とオブジェ

 サメ好きの方で、サメの歯を収集されている方も多いのではないかと思います。化石などは、メガロドンを筆頭に好事家が競い合って買い求めます。
 また歯に止まらず、顎に触手を伸ばすコレクターの方もいらっしゃることでしょう。

 概して高価な顎や化石ですが、私は収集については少し距離を置いています。専門家でもない人間が、これらを買い求めることであまりいい影響を与えないのではとの懸念と、単にマネーの問題です。

 恐らく後者の方が理由が大きいです。

 さて私たちがよく目にする鋭くとがった大きいサメの歯は、実はサメの中ではかなり少数派の歯です。

 しかし所帯の多い、1m前後の小型のサメの歯は、なかなか入手が困難です。これらは歯も微小で、恐らく水族館でも飼育の多いドチザメやエイラクブカなどは歯が生え変わっている事実さえ気づかれていないかもしれません。

 私は各地の水族館のサメのタッチプールでこのようなものがないかをつぶさに観察し、集めたりしていました。なかでもドチザメは常連で、 2~3㎜ほどの歯なのですが、ちゃんと尖っていて大きさ以外は立派な歯の形をしています。

 それをあるサメ友達へ見せて、実はこんなのがありますよと、お話したことがありました。

 その時いたく感動され、つい最近あるプレゼントをいただきました。本当にありがたい話です。

 それは、ある水族館の水槽の底に落ちていた、エサの貝殻の混じった残渣です。

 私なら見つけられると託され、詳しく調べますと確かに微小な歯がいくつも出てきました。

 本家サイトの「サメってよく見ると面白い!」コーナーにおいて、その顛末を掲載いたしました。

 皆様ぜひご覧ください。
  http://www.geocities.jp/haie1976/observation.html 

 また歯の収集家の方で、詳しい見識をお持ちの方がいらっしゃいましたらご指摘ただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

2015年11月6日金曜日

ユメザメの背骨を食べる(脊椎標本ができるまで)

 先日、お世話になった焼津の長兼丸さまより船上解体ショーで使用したユメザメCentroscymnus owstonii)の体の一部をいただきました。
 
駿河湾産ユメザメ、いわゆる「カクバラ」

 皮膚と背骨とその周りのお肉などです。

 皮膚は、乾燥させ皮標本として価値のない粗悪な出来となりました。欲張って大きいままで乾かしたのがいけなかったです。

  そんな中、背骨周辺の肉は乾燥させジャーキーに(非食用)。
 残った背骨はどうしたかと言いますと、お肉をきれいに除去するためある生き物に食べてもらうことに。 我が家の淡水魚水槽の住人であるスカベンジャー(残飯処理係)、3センチほどの淡水エビとカワニナです。

 肉はある程度腐らせ、指でそぎ落としてから骨様組織の見えるまで食べていただくことにしました。

 以前にも市販のアブラツノザメの背骨をしゃぶってもらいました。似たような状態から、最終的には脊椎骨を残しそれをバラバラに解体してもらうところまでやってもらえました。

 脊椎(椎体)は、「鼓」のような形状で脊索の組織まで食べてもらえました。

 件のユメザメですが、数週間たちまして周りの肉をほとんど食べていただけました。
 
大きさは10センチほどの背骨。肉はほとんど食べられた。


 椎体は、写真だと薄茶色の部分(脊髄)ではなく、下部のまだ軟骨に覆われている、より白い部分です。  わかりやすく「数珠(じゅず)」に例えますと、数珠のヒモが脊索、数珠の玉が脊椎、脊髄はその上に乗っかっている状態です。
 このまま放置するとすべてバラバラ(個々の椎体)になりますので、一部を背骨標本(という名のガラクタ)にして端部を切り再び食べ続けてもらうことに。
 この状態だとエビよりもカワニナの方がしゃぶってくれます。

 「ほねっこ食べてぇ~」状態です。(提供:サンライズ)

 また、あるサメ好きの方から「ツノザメ類は、脊索が大きいとの話を聞いたことがある」、との話題をいただきましたが、椎体のなかにある脊索(索とはひも状の意味です)は他のサメのものに比べてやや太い印象を受けます。でも椎体そのものがあまり大きくないので、大きなツノザメ(オンデンザメなど)で比較すれば明瞭かもしれません。
 ちなみにエビやカワニナは脊索まで食べるので、最終的には穴の空いた椎体ができることでしょう。 

 この模様をタイムラプスの動画に上げたとして、需要があるかどうかは不明です。
 うちじゃ、やんないよ!
  また数週間後に椎体だけになったらお目にかけましょう。

 ※最近、ロシアからのアクセスが増えています。なぜ?

Липницкая мило!
Путин причудливый?
Снег складывается в Москве.

Спасибо, что пришли.

(グーグル先生による翻訳なので意味が通じますかね)
 

2015年11月1日日曜日

サメ研究最前線を求めて (国際水産資源研究所:FRA 一般公開2015)

 ★マオナガ編レポート アップしました(11/1)→サメコラム1
 ★サメ標本編 レポート アップしました(11/2)→サメコラム2
 ★サイエンスカフェ仙波博士編 レポート アップしました(11/2)→サメコラム3
 
 思い立ったがなんとやら、9月に続き10月も静岡県に出張もとい訪問となったのは、あるブログの書き込みからでした。

 10月頭に、ぶぶサメ(ネット配信放送)と談話会でご一緒したシャークジャーナリスト沼口麻子さんより、静岡県清水区折戸にある「国際水産資源研究所」での一般公開イベントで、サメをテーマにした催しが開かれるとの情報でした。

 10月31日という開催日を聞いたのがほぼ1週間前。

 行くべきか行かざるべきか。

 ダメもとでスケジュール調整を無理やりにして、夕方帰京(都)できるような弾丸ツアーを組むのも厭わず、「サメ研究の現状を研究者の方から直に聞きたい」という発作的なHaieの「病気」がこの道行きを選んだのでした。

 件の沼口さまに窺いますと、ご本人はおいでになれないとのことで、「Haieさんレポートよろしく」というありがたい御意を賜り、京都より馳せ参じたのであります。
  ジャーナリストに記事を期待される私はなんなんや?との思いはさておき、清水につきましたのは正午ごろ。
国際水産資源研究所入口 おとなりはあの東海大学海洋学部キャンパス

 当日はドッタンバッタンしながら出立しました(いつものことです)ので、カメラは忘れるわ、聞き取りノート(通称:サメ閻魔帳)まで自宅に置きっぱなしのまま、準備不足寝不足のまま旅路についたのです。(掲載画像はすべてオフラインのケータイによるものです)

 私の事情などどうでもよいのですが、こちら「国際水産資源研究所」の名称にあまりなじみがないなぁと思っていましたら、長年ついていた水産庁管轄の「遠洋水産研究所(遠水研:えんすいけん)」から組織改編があり、独立行政法人を経て、今の国立研究開発法人として水産総合研究センターが存立され、その中の国際資源研究の部門、つまり日本の沿岸以外の漁場が調査対象の研究施設として運営されておられるようです。
 現在の正式名称は
 国立研究開発法人 水産総合研究センター
 国際水産資源研究所

 そして年に一度、一般に広く研究内容を理解してもらう機会として、この一般公開を行っているようです。
 イベントの目玉としては、本物の4mのマオナガ(オナガザメ)の展示、サメ研究者の貴重な講演、その他のサメ標本展示や、ロープワークやちりめんモンスターのワークショップ、クジラ・マグロ・カツオ・カジキ類の展示などでした。 
東北沖で捕獲された4mもあるマオナガのメス

 講演は、途中参加(4回中3回)でしたがほぼ満室で盛況ぶりがうかがえました。(定員20+30ほどの会議室)


講演を務められた、甲斐幹彦博士、仙波靖子博士、カジキ展示で詳細な解説をいただいた研究員の方、その他現場のスタッフの皆さまお疲れさまでした。 この機会を設けていただいたことに感謝いたします。
 (講演冒頭のあいさつで「本日はお忙しい中…」と言われるたびに、「ホンマに忙しいのはみなさんの方やで」と思いましたが) 

 電車の時間が迫り、アンケートも出さず講演を中座する形で帰路についたことが心残りではあります。(お土産もらわず帰還で無念)
  講演の内容や展示魚種などの紹介は、本家サイトで近日レポートの予定です。

マオナガ編レポート アップしました(11/1)→サメコラム1
サメ標本編 レポート アップしました(11/2)→サメコラム2
サイエンスカフェ仙波博士編 レポート アップしました(11/2)→サメコラム3

2015年10月28日水曜日

サメが人と出会う時(糸満市のサメ事故)

10月26日早朝、県南部の糸満市沖でスタンドアップパドルボードを楽しんでいた男性がサメに襲われる事故が発生。

 沖縄タイムスの記事
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=138864

 沖縄本島でのサメの咬傷(こうしょう)事故は、たびたび報告が上がっていますが、今夏の騒動以来マスコミはこぞって取り上げているようです。

 サメの事故で多い時間帯が早朝夕方で今回もそこにあてはまったのですが、右足を噛まれたものの幸いにして自力で海を出て行けるほどだったようです。
 ちなみにスタンドアップパドルボード(SUP)とは、サーフボードで立漕ぎするスポーツのようです。基本的には沖へは座ってパドリングするので海に手足を漬けることはないようですが、今回はどうもボードに突撃されて海に落ちたとの話です。

泳ぐ中で、サメの口に足が当たりケガを負ったとの話で、被害者の動揺ぶりがうかがえます。

 さて、このサメは何ザメであったか。
 情報があまりにも少なすぎて特定できかねますが、この海域の常連であるイタチザメ、オオメジロザメの可能性が高そうです。
  大型のサメの場合、ファーストアタックの試し噛みで四肢をもぎ取られることもあるので恐ろしい限りです。


 一方でこの糸満市にとってこの事故がなんともタイミングの悪い出来事だったようで、今週末に同市で開かれるサーフィン大会が延期の憂き目にあうこととなったそうです。

 イベントの中止は、やはり地元が潤う機会をサメによって逸失させられたとの認識を覚えてしまうことでしょう。
 サメ憎しという怨嗟の声がサメに向かうことがないよう祈るばかりですが、こういったイベントの安全確保の具体的な対策が、実施しないという選択肢であることは一見すると妥当なように見えます。

 しかし一方でサメは普通に海にいるもので、足繁く通うサーファーであれば一度くらいサメを見たという方も少なくないはず。
 海を親しむ人間にとってサメは恐怖の対象の一つですが、あくまでリスクの一つに過ぎないという見方もできます。
 時化やうねり、突風、咬むウミヘビや猛毒を持つクラゲなど海には危険な存在がいるでしょう。
 海に生身で赴くのは、その辺も織り込み済みだと考えられなくもないのです。

 つまりサメの襲撃のリスクが高まったと判断するのも人間の都合です。
 仮に実施したとして、責任論が噴出した場合、主催者側への風当たりは相当厳しいことでしょう。リスクを意識するかしないかは、考え一つに委ねられています。

 サメのいない海などない。(…死海は湖)
 海でレジャーを楽しむのもリスクを伴います。しかしサメは多くの中のわずかな一つにしかすぎないとも言えます。

 サメが人間の意志を汲み取ることは期待できないので、サメが襲撃するリスクを見直して、時間帯や海況などが判断材料となれば、サメとの遭遇率を下げるにはどうすればよいのか、より具体的な対策をとることもできるでしょう。
 
 人間の都合をもう少しサメ寄りにしていただく、それはサメを忌避するのではなくて彼らの行動パターンを知るということでもあるでしょう。
 彼らは海を楽しむものに嫌がらせをするために現れるのではありません。
 ごく当たり前の話ですが、彼らは彼らとして海で精いっぱい生を全うしている尊き生命なのです。

 海を愛するならサメのことも知ってください。何億年も前から海で暮らしてきた先達として、常にそこにいる者たちです。
 しいて言えば、私たちが海に出ることはサメのテリトリーにお邪魔するくらいの気持ちで臨むべきなのでしょう。 
 糸満市の公式ツイッターでは、海に行く時は周囲の人に伝えておくこと、1人で海に入らないこと、暗い時間帯は避けること、サメを見たらすぐに海から上がること」を呼びかけ、適切な注意を行っておられるようです。
 報道ももう一歩踏み出してほしいのが本音ですが、「サメは危ない」を頑迷に伝える使命をメディアは担っておられるのだと思うようにしております。
  
 かつてサーファーとして名を馳せ、石垣島でサメ類の研究をされていた故矢野和成博士を思い出します。
  私ごとき陸の人間が口幅ったいことを承知で話すのはお恥ずかしい限りです。

 海は楽しく、サメは美しい。  

2015年10月27日火曜日

パッチワークでできたサメサイト Haieのナカミの成り立ち

これは、どうでもいいHaieの話です。
でも私にとっては大切なことでもあります。お読みください。

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私がサメサイト「サメ ~Haieのナカミ~」を立ち上げたのは2004年11月のこと。

 実に11年間、ほったらかしの時間も含みますが、何とか息を細くとも生きながらえております。

 サイト立ち上げのきっかけは、 本家サイトでも取り上げておりますように東海大学海洋科学博物館主催の「海と魚の探究セミナー サメにアタック メガマウスザメを究めろ」と題された一般向けイベントへの参加でした。

 
東海大学海洋科学博物館に展示されている雌雄のメガマウスザメ剥製


 この直前に私がサイトを持たないサメ好きとしてネットサーフィンをしていた時代に、当時まだ誰も関心のなかった深海ザメに特化したサイト「鮫ザメと鳴く」を毎日のように見ておりました。
 管理者のたーみーさんという方が立ち上げたもので、メガマウスやミツクリザメ、ラブカなどの写真が豊富にあり、ご自分でそれらのサメを求めて各地を回るといったこともされていました。
 2004年、折しもメガマウスが静岡で見つかって、公開解剖がされ上述したイベントの運びとなったのです。

 私は、もしかしたらたーみーさんに会えるかもしれないと、期待を込めてこのイベントに参加したのです。でも実際にはご参加はされなかったのですが。

 これはサメについての講義と水族館での宿泊型体験セミナーで、大人の知的合宿でありました。そこでは長年の憧れであったサメ博士「田中彰教授」と直接お話しする機会に恵まれました。
 
 またセミナー中のイベントであった「ラブカの解剖」は、サイト立ち上げ時のメインコンテンツでもあり、今も多くの方がサイトに来てこれだけを見て帰って行かれます。(アクセス解析による)

 この素人解剖解説のコンテンツをご覧になればわかるのですが、私が解剖している様子が写真に収められています。

 つまり…これは私が撮ったものではありません。

 私はほとんど肝油まみれでラブカの写真を撮ることができませんでした。
  実はこのセミナーに参加されたある女性から、解剖を引き受けた御礼として(当時は参加者がメスを入れる仕様で、私が独壇場で執刀しました)ご自身が撮られた私とラブカのスナップをCD-ROMにして送っていただいたのです。

 当時お礼を添えてお手紙を書いたと記憶しておりますがほんのわずかなものでした。

 でも、この女性がいなければ、このサイトは生まれませんでしたし、私もサメ好きを続けることはできなかったでしょう。
 ちなみにその女性は、当時すでに社会人だった私を熱心な学生と勘違いしたことから供試の意味で写真をくださったのです。

 こんな小さな誤解ときっかけでこのサイトは生まれたのです。

 その後、深海ザメ師匠と私が勝手に呼んでいる先述の「たーみー」さん、との邂逅を改めて果たすべく、日本板鰓類研究会のシンポジウムを聞きに東京の中野へ赴きました(当時東京下町住い)。

 そこでまず懇親会に参加し、北海道大学のある女性研究者とお話ができ、私の関心が高いサメの種類についてのレクチャーをいただきました。
 その方とは、その後メールで文通し合い、二年ほどサメについての話題を楽しくやり取りしていました。シンポジウムでは、たーみーさんとも会うことができました。
 
 またシンポジウム後に、あるサメ研究者の方々とご一緒させていただく機会に恵まれ、そこでサメ研究の第一人者で(現在は退かれている)、サメの図鑑などの監修をされていたT先生とお話することができました。たしか小田急新宿のミュンヘンだったと思います。
 
  T先生は、含蓄あるサメへの思いを語られ私も傾聴して受け止めました。
 その後、T先生は一介のサメ好きである私へ、当時全種掲載を果たしていた「Sharks of the World」の種名一覧のコピーを送ってくださいました。(後に書籍も入手しました)

 サイト開始当初でたらめなサメリストでしたが、ここにきて一気に正確さを帯びた種名一覧へと変貌を遂げ、今も新種の追記などで更新しています。
 
 こうしたちいさなきっかけや些細なことから、このサイトは生まれ育っていったのです。

 その後、私がしたことは努力などと呼べるようなものではなく、常に私の興味に応えてくださったここには上がっていない方々の、多くの救いの手が、このサイトを形づくっていったのです。
 だから一見みすぼらしいパッチワークのようなサイトなのは、こうした理由によるものです。

 そもそも怠惰で向上心のないHaieが、自分一人でサメのコンテンツを上げられるわけはないのですから自明の理です。

 まぁだらだらとアカデミー賞受賞者のスピーチのようにお話してしまいました。
 もし私が私だけのためにサメ好きをやっていたのなら、今日までサメ好きではいられなかったでしょう。

 私は、こういった厚意を少なくとも無駄にしないためにサイトを作り続けて行ったのだと思っています。ここにご紹介できない多くの方、私をサメ好きでいさせてくれる方がいて、私はサメ好きなのです。

  私はどうもサメが好きらしい。
 私がサメ好きを大手を振って名乗れないのは、こうしたところに原因があるのでしょうか。

 もし観て下さる方がまだおられるなら、つづける価値はあるのだろう。
 まぁそんな消極的な動機付けではあります。
 杖をつき、入れ歯をフガフガ言わせ、しわくちゃの顔をさらに深く皺で刻みながらでも、サメ好きを気長にやっていくつもりです。(そこまで長生きできん気はしますけども)

 皆さんも、お付き合いください。

 Haie

2015年10月19日月曜日

海の恵みを求めて、海民の末裔は深海を目指す

私がこの方を初めて見たのは、2004年に放映された深夜のドキュメンタリー番組でした。

小川漁港停泊中の長兼丸(ちょうかねまる):19トン
静岡県焼津市。
マグロ漁の大型漁船が横付けする地区よりも南にある小川(こがわ)港。
そこへ車で続々と集まる人たち。
彼らが待つのは駿河湾で捕れる「ミルクガニ」なるものを乗せた漁船でした。

その名も「長兼丸(ちょうかねまる)」。
船の主は、長谷川久志さん。
今では深海に特化した漁を行うことでもメディアの露出も多いことで知られています。

 この番組では兄弟船とのタイトルで、漁期の狭間で深海にすむニッチな生き物を捕ることで活路を見出すアグレッシブな“異端児”に思え、ユニークな人がいるものだと感心しました。

 韓国の皮革専門会社から注文を受けて、ヌタウナギを活魚で韓国に送ったり、マグロの廃棄物である「頭」と「しっぽ」をもらいうけて、カニ籠漁をする姿が見られました。
 ミルク臭いと相手にされなかったエゾイバラガニを、奥さまと一緒に自ら売り捌くなど商魂たくましい部分も垣間見え、陸で奔走する漁師らしくない姿が印象的でした。

 その後は、皆さんも知る通り、恐らく日本で一番有名な漁師になり深海魚を私たちの身近に見せ、楽しませてくれています。
  そしてサメ好きは、少なからず深海ザメの供試あるいはメディアへの露出などで目にする恩恵も受けているはず。
 なにより深海ブームを生み出した企画会社は、この方に足を向けて寝られないでしょう。
 
 前置きが長くなりましたが、長兼丸を取り上げた記事あがっています。(毎日新聞会員登録要)

 ストーリー:駿河湾の底はえ縄漁師(その1) 深海の魚に恋して

 ストーリー:駿河湾の底はえ縄漁師(その2止) 「未知の世界」案内人
 
 実は以前の記事「サメは海にいる」で私が乗った漁船は、この長兼丸さんだったのです。
 ある企画で一参加者として、サメを見るツアーでした。
 残念ながら生きたサメを見ることはできませんでしたが、深海ザメの解体ショーや漁の体験など非常に貴重な経験ができました。
 船長もとてもフランクな方で、この海、駿河湾を心底愛しているのだなぁと思わされました。

 私にもサメマニアとして知見を求められる姿勢には驚きました。「素人の座学ですよ」と遜りましたが、探究心も好奇心も旺盛な方に見えました。

 この深海漁に行きつくまでは苦労の連続だったようで、まだ少年のころに遠洋漁船に乗ったり、小笠原で難破し危うく命を落としそうになったりと、魚を求めて海を開拓する姿は、古代の海民の姿を彷彿とさせます。

そういえば、体験会で最後の仕掛けを下ろす時、「おまじない」として『ついよ!』と海に向かって叫ぶ場面がありました。
  先日訪れた三重県鳥羽市の海の博物館でも、海女が「つよ」と唱えてから海に潜るシーンがありました。
 焼津と鳥羽。
 つなぐ黒潮が同じ言葉と同じ習慣をもたらしたのだろうと、半ば感動しました。

 海を平面で開拓したかつての「海民」たち。その末裔は、深海というバーティカルな開拓を始めたのだと思えます。
 
 船長は別れ際に「いつでもきてくださいよ! サメでもなんでも見せますから」と言ってくれました。
 私にも海民の血が流れているかもしれない。船長の言葉は、私の中の好奇心旺盛な何かをくすぐったのでした。
 

2015年10月9日金曜日

スコットランドで見つかった深海ザメ チヒロザメ(オシザメ)

 深海ザメの仲間には大所帯のツノザメ目のほか、メジロザメ目トラザメ科の仲間(ヘラザメ属、ヤモリザメ属など)も同じ深い海にいます。

パッと見では、両者の区別は「棘(きょく)」と呼ばれるツノの部分ぐらいしかわからないでしょう。
実際には、臀ビレがあるメジロザメの仲間と、ないツノザメの仲間という区別もできます。

かつては深海ザメは日本にしかいないと思われていたものが世界各地にいると、研究が進み明らかになってきました。

今回ご紹介するサメも、深海勢では二番手であるメジロザメ目の仲間で「チヒロザメ(オシザメ)」 [Psuedotrakias microdon]というあまりなじみのないサメです。

紹介された日本の記事
http://jp.sputniknews.com/europe/20151005/997584.html

現地の投稿
http://www.tagsharks.com/new-species-of-shark-discovered-in-scottish-waters

スコットランドでこのサメが見つかり非常に珍しいとニュースになっています。
日本でも多分人知れず漁師に捨てられているであろうレアサメです。
SSTP(Scottish Shark Tagging Programme)という団体の調査で分かったそうです。
ちなみにこの海域には72種の板鰓類(サメやエイ)が棲んでいるそう。狭い海域なら多い方かも。

 日本語の訳を見てみますと「ニセネコザメ」というなんだかよくわからない表記。
英名の「False catshark」を直訳したようです。「catshark」は無理のない訳し方とすれば「トラザメの仲間」の表記に当たるでしょう。日本語の「ネコザメ」は、いわゆる「Heterodontus属」で全くのお門違い。

俗名(現地の呼び方)の「ソファーザメ」という言い方も、「ソファーシャーク」で構わないと思います。和名にはない呼び方ですので。
 直訳で海外のサメを無理やり「●●ザメ」と言い為す必要はないわけで、特に和名が定まっているものについてはその表記に従う方が理解しやすいはずです。
 最近の水族館でも海外のサメの場合「●●シャーク」という呼び方や表記を採用する園館が増えてきたように思います。
 私個人としては(地名や固有名)+(グループでの呼び方 テンジクザメなど)がわかりやすく、逆に英名をそのままカタカナにするのは不親切な気もします。(あくまで個人の考えです)
 キャットシャークとカタカナ表記することは、日本人にとっては「ネコザメ」という誤変換を誘発しやすい言い方なのでちょっと考え物です。



 と、学名表記から和名を参照するツールとして個人的に使っているサメリスト。
サメ種名一覧 http://www.geocities.jp/haie1976/list.html

 こういうことがあまりないように私が個人的に作ったものなのですが、「役に立たねぇ!」ようです。
 ただ日本の図鑑でも浸透していない和名を表記するものもあって、それをリストに反映させて良いものか、というどうでもいい悩みを抱えています。

好事家として長年やってきましたが、偉い先生にお伺いを立てないといけない時期に来たのでしょうか。

2015年10月6日火曜日

京都サメ談話会&ぶぶサメ(サメTV)

 去る10月4日、京都の某所にてシャークジャーナリスト沼口麻子さん主催の「サメ談話会」と付属イベントが行われました。(事後報告で申し訳ありません)


 「サメ談話会」ってなんやねん? という方のために説明しますと


 ただただサメの話を(1~2時間)するだけ。


 飲み食いなどする場合が多いですが、あまり食べたり飲んだりする間がないくらいお話が続きます。サメを知らない人でも話を聞くだけでも普通に面白いという、サメ好きたちのパトスに圧倒される時間です。

 そんなおしゃべりイベントなのですが、沼口さんの活動拠点が主に関東圏なので関西ではまだ3回ほどしか開かれていませんでした。


 直近の関西圏サメ談話会は、「猛禽アイドル(鷹嬢)稲咲アンナさん」とのコラボイベント(2014年7月)以来という、関西のサメ好きには待ちに待ったイベントです。


 今回の京都開催は三本立て! サメTV収録サメ談話会サメ懇親会(居酒屋)。

 いずれのイベントもご参加くださった方皆サメにご感謝いたします。(会場担当Haieより)


  そして…


 私Haieも、

「サメTV in 京都 ぶぶサメ(ぶっつけぶっちゃけサメトーク)の収録を行うことになりました。今回はギャラリーもご参加とのことでうれしいやら申し訳ないやら…。半ばスタッフとしてお世話になりましたこと、心よりお礼申し上げます。


 Ustreamでの配信ということで、生放送で行いました。

 この番組の魅力は、沼口さんの毒舌とっておきのサメ話と二人のコアなトークです。Haieは半ば暴走気味に独自のサメワールドを展開し、視聴者を減らしてしまうほどでした。


 Haieの滑舌の悪さと後半のグダグダなどお見苦しい点がありますがどうぞご視聴ください。


 ~プログラム~

 ・速報! シャークジャーナリスト通信(アラブサメ事情・2015夏のサメイベント)

 ・今様 百鮫一種(百人一首のサメバージョン) 重症サメ患者の譫言です

 ・奥ブカいサメ本の世界(ここ一年で出たサメ本の紹介)

 ・これはサメちゃう!? ダメグッズ(Haie個人の感想です)

 ・出たトコサメ談義
   (夏のサメ騒動を斬る、開催中のサメイベント・大阪で食えるサメバーガーなど)
基本ウチワのノリです。ご容赦ください。(収録約95分)
 

http://www.ustream.tv/recorded/74747616

 

 ご意見・ご感想などコメントいただければ幸いです。

 ご参加の皆サメ方、お疲れサメでした。 

2015年9月25日金曜日

秋フカし、窓の外にはカネタタキ(サメの地方名)

 パソコンに向かって原稿を書いていると、ふと窓の外から虫の声が聞こえてきます。
 
 秋も深まって来たなぁと、しみじみ思うのですが、中でも聞き覚えのある鳴き声の主がおります。

 その名を「カネタタキ」というのですが、「チッチッチッチッ」とリズミカルにまるで鉦鼓(しょうこ:お坊さんの鳴らす金属製の太鼓)を打ち鳴らすかのように 聞こえるのでそう呼ばれているようです。

 しかしカネタタキという、主に俗名というか地方での呼び名のあるサメもおります。

 皆さんよく御存じの「ハンマーヘッド」、そう「シュモクザメ」です。
もともと「シュモク」自体が、この鉦鼓のトンカチ(撞木)を指すので、意味合いとしては同じものとなります。

海遊館でひときわ存在感のあるアカシュモクザメ
サメ好きとは、虫の音を聞いてもサメを思い浮かべる何とも仕様のない人種であるということですね。
 おかげで原稿も進みません。

2015年9月22日火曜日

サメは海にいる

静岡県某所にて
恐らくHaieが見ることになる初めての野生のサメ。

 この海にサメはいるのか、この目で確かめに行きます。酔い止めを忘れずに…。


2015年9月18日金曜日

サメ博士の憂い(毎日新聞コラム記事に寄せて)


毎日新聞と東海大学の提携記事で、サメ博士田中彰教授のオピニオンが掲載されています。
http://mainichi.jp/sp/tokaism/opinion/con35_1.html




2014年のメガマウス公開解剖についても言及されています。私が特に気になったのは、ご自身が駿河湾をフィールドに研究をされてきたことに対し、熊野灘(和歌山・三重県南部)や相模湾(神奈川県)をフィールドにするサメ研究者がいないということへの言及でした。
 いずれもメガマウスの発見に関わりながらも研究空白地帯で、もどかしい思いをされておられるのだと感じました。

 サメ研究への理解がもっと深まれば、研究者育成と研究環境の醸成が果たせるのでは、との悔しさでもあるでしょう。
 一時の注目でなく、継続的に関心を保つにはどうすればいいでしょうか? 最近のサメ動向について私の思うところでもあります。

(この記事は旧掲示板で2014年6月12日に書かれたものです) 

 2015年9月12日より鳥羽市「海の博物館」では、企画展「サメはこわい?おいしい?役に立つ?」が開催中ですが、期間中にサメ博士田中彰教授をお招きして、「サメのふしぎを探る」と題したサメのお話をするイベントがあります。
 ご興味ある方は、ぜひサメ展開催中の海の博物館へお越しください。
 日時:2015年11月22日 13:30~15:00 海の博物館内において開催(事前申し込み要) 

 関連コンテンツ: 田中彰先生のサメイベントの軌跡
 2004年 海と魚の探究セミナー(東海大学海洋科学博物館)
 2007年 サメ祭り(日本板鰓類研究会主催 東海大学海洋科学博物館)
 2013年 サイエンスカフェ「サメ展を2倍楽しむためのフカいい話」(須磨海浜水族園)
 


2015年9月13日日曜日

ミュージアムセミナー「サメはこわい?おいしい?役に立つ?」(三重県生涯学習センター)

 「海の博物館(鳥羽市)」でのサメの企画展「サメはこわい?おいしい?役に立つ?」が9月12日より開催されるのに合わせて、三重県総合文化センター内で学芸員の方による講演が行われました。



 三重県生涯学習センターでは、三重県内の博物館へ足を運んでもらうためのプレゼンイベントとして「ミュージアムセミナー」を実施しておられるそうで、今回は海の博物館さんによるPRということのようです。

 私も前日申し込みながらも京都から駆けつけ、講演を拝聴してきました。(参加は無料)


 当日の会場は津市の三重県総合文化センター内にある生涯学習センターの視聴覚室でした。参加人数は50名を超えているようで、臨時のイス席まで用意されていました。
 会場にはメディアの取材カメラも入っていました。(三重テレビ)

1Fホールにて行われたサメのパネル展示

 講師の方は、同館学芸員の縣拓也さん。お若い好青年で、サメのお話を「あまり詳しくないのですが…」と謙遜されながらしゃべっておられました。

 海とヒト、自然とヒト、というこちらの博物館のテーマに直結するものが「サメ」であるということのようです。

 お話の要点は、サメを見る三つの視点(生物・食・素材)からサメ自身の生態(どんなサメがいるのか、サメとは何なのか)、サメにまつわる文化伝承、サメを食材にした食べ物の紹介、サメを利用した製品群の紹介という展開でした。
 詳しい内容はサメイベントとして本家サイトで近日コラム形式で取り上げますのでお待ちください。

 感想としては、サメのたくさんの文化的な話題がとても楽しく、食・伝承・素材いずれもサメの奥深さを知る内容で京都から来た甲斐がありました。

 その中でも、サメを用いた食品「津はんぺい(はんぺん)」の話題が気になりました。博物館のイベントでもその「はんぺん」づくりが催されるそうで、津市内で営業されておられる「山熊商店」さんで作っておられるとのことでした。→はんぺいとは?(外部サイト)

 食べてみたいし、せっかくなので…
 行っちゃいました!
お店はお休み? ※車はマイカー(18年もの)です
 実は学芸員の方にお店の場所を聞こうと思ったのですが、熱心な質問者の方とお取込み中なので断念しました。それで同じ建物内にある図書館の地元資料コーナーで商工名鑑を見つけて住所を調べ、住宅地図で探し当てました。(どうでもいい話)

 運よくたどり着けて、お店の方にお会いしてお話を伺うこともでき、はんぺいも入手できました。
 休業日にアポなしでも歓迎いただき、私の興味にお付き合いくださった有限会社山熊商店社長の島岡さま、本当にありがとうございました。

  食レポも、本家サイト「サメを食べよう!」コーナーで近日公開予定です。夕餉で食べてみて、はんぺんの常識が覆る食感とうまさでした! これは関西人でもイケる!

 というわけで津市でのサメ文化探訪のトリップは充実したものになりました。でも本チャンの「サメ展」にも行かないと。
 レポート予定ばかりでホンマにUPできるか怪しい…。
半月状の形の津はんぺい(焼いて伊勢醤油でいただきました)

2015年9月11日金曜日

サメイベントのお知らせ(海の博物館:三重県)

 三重県鳥羽市にある「海の博物館(公益財団法人 東海水産科学協会)」にて
特別企画展「サメはこわい?おいしい?役に立つ?が行われます。

http://www.umihaku.com/past_event/shake/shake.html

©海の博物館 Toba Sea-Folk Museum

 水族館などのサメ展と違い、食や利用に重点が置かれた展示となっているようです。
 会期は9月12日から1月11日で、期間中にサメイベントも同時開催されます。

 海の博物館公式ツイッター https://twitter.com/umi_museum
 
 主なイベントはサメの歯クラフト体験(10/4)、サメではんぺんを作ろう(10/17)、 サメ博士・田中彰教授による講演会「サメのふしぎを探る」(11/22)、鳥羽水族館見学「サメのなぞ解き探検隊」(注:親子限定有料 11/29)など好企画がメジロ押しです。(各要事前予約)

 田中彰先生の講演は、サメを知るにはまたとないチャンスです。定員50名ですのでお早めに。

 常設展示でも伊勢志摩の漁民文化や漁具などが展示されています。サメを積極利用する地域であることの意味を知ることができるかもしれません。

 また9/12には、津市内の三重県生涯学習センターにて、学芸員の方による「みえミュージアムセミナー」の講演も行われます。
 http://www.center-mie.or.jp/manabi/event/sponsor/detail/3710

 
全国でも珍しいヨーロッパ産のハナカケトラザメ:志摩マリンランド

 博物館へのアクセスは、JR/近鉄鳥羽駅からバスで37分とやや遠目ですが、近隣の志摩マリンランドや鳥羽水族館も合わせて訪れるのもよいのではないかと思います。

 →サメのいる水族館

ほぼ常設展示のカスザメ:鳥羽水族館
 
 (サメイベントは毎度直前の告知ばかりで申し訳ありません m(_ _)m)
 

2015年9月10日木曜日

新種のサメ[Bythaelurus tenuicephalus]が発見される 今期5例目(2015年 Zootaxa)

サメの新種発見は、今年に入ってからは5種めの記録となっています。

 今回見つかったサメ「Bythaelurus tenuicephalus」は、西インド洋の深海に生息するトラザメ科の仲間だそうで、アブストラクトを拾い読みしますと(ド素人判読)同じBythaelurus属に分類される他のサメと比べて、鼻先の形や鼻孔に特徴があるようです。(CARINA JULIA KASCHNER, SIMON WEIGMANN & RALF THIEL)

 掲載誌 国際学術誌「Zootaxa」
http://biotaxa.org/Zootaxa/article/view/zootaxa.4013.1.9

 ちなみに2015年9月現在では、サンゴトラザメの一種、 Bythaelurus属の一種(今回とは別種)、トラザメ属の一種、コモリザメ属の一種が報告されています。

 本家サイトのサメリスト(サメ全種一覧)
  http://www.geocities.jp/haie1976/list.html
  …そろそろ属名にも和名表記を反映させた方がいいのかも。(独り言)

 ちなみに当方はサメ研究者ではありませんので悪しからず。


 
 

2015年9月9日水曜日

サメ騒動によるミスリード(NHK:クローズアップ現代)

大阪海遊館で展示されたイタチザメ(現在は展示してません)

 昨日、NHK総合で放映された『クローズアップ現代 サメ!凶暴バチ! 温暖化で“危険生物”があなたに迫る?』を視聴しました。

 率直に言って、サメの取り上げ方に不満がありました。

 曖昧なサメの被害 

 このプログラムで取り上げられた“危険生物”なるものは、サメ(番組中はイタチonly)、ヒョウモンダコ、アンドンクラゲ、ヒトスジシマカ、ダニ類、ツマアカスズメバチでした。実際に起こった被害の報告はクラゲ、ダニ類、スズメバチで、 サメについては同番組で出演された多良間島の前泊氏の証言による「3,4年前 3人もやられたんで」というわずかなインタビューのみでした。

 この証言は、恐らく2012年の奄美大島の転覆事故を差しているのではないかと推測されますが、「やられた」という言葉は「殺された」のではなく「咬まれて負傷した」ことを意味しています。
 参考: 「現代ビジネス 経済の死角 サメ被害

 しかし視聴者は「殺された」方にも受け取ることができ、事実となる詳細な被害を追記しなかった報道側の姿勢が問われます。

 サメの駆除数増加≠サメの増加

 また前泊氏を「長年サメの駆除に関わってこられた」と紹介されていますが、同氏がサメ駆除を専門に始めたのは10年ほど前で、水産庁から「離島漁業再生支援事業」による補助金が出始めた時期でもあります。

 そして棒グラフで示された駆除数の推移(サメ駆除を実施している豊見城市・糸満市・渡名喜村・宮古島市・石垣市における)が提示され、平成20年度に50に満たなかった捕獲が平成26年度には250を超えるようになってきています。

 この数字は、一瞥するとサメそのものが増加したように見えますが、事情が変わったのは人間の側であることも理解しなくてはならない数字でもあります。
 捕獲努力量の提示がないので、出漁そのものが増えたのか、取り組む作業船が増えたのか、はたまた効率よく捕れる漁法にしたのか、判断しかねるデータです。

 前泊氏は真剣に取り組んでいらっしゃるのに、マスコミはサメが暴れるシーン取りたさに多良間島へ行っただけで、その実態は最近放映のあった「鉄腕DASH」の方がまだましな内容でした。
 漁業被害の実例やサメ駆除後の利用などにも触れるべきだったのではないでしょうか。 

メジロザメの仲間でも鼻先が尖っていないのが特徴のイタチザメ
 
 イタチザメが北上したかのような印象操作

 他にも番組では今夏の茨城県沖でのサメについて「美ら島財団総合研究センター」の佐藤圭一氏(サメがご専門)がサメの生態に関わるインタビューに応じていました。

 同氏は「水温が高い海域を好むサメ」であることを証言されていましたが、番組を見た一般の方はこの流れでは「イタチザメ」以外に浮かばないでしょう。(オオメジロザメも同海域では危険なサメですが、触れられていません)
 サメがご専門の佐藤氏でも、映像のみでは何ザメか特定が困難なメジロザメの仲間です。
 「普段沖縄にいるようなサメ」との証言も、その後の流れで今夏に関東周辺に北上したと思わせるようなものでした。

 同氏は取材時に「これはイタチザメではない」、と言われたかもしれませんが、編集権は報道側ですから印象操作が可能です。
 「水温が上昇して普段沖縄にしかいないようなイタチザメが関東にやってきた」という結論ありきの内容でした。
 ちなみにイタチザメも本州沿岸に来る例は報告がいくつか挙がっていますが、あまり大きな個体の事例はないようです。そもそも茨城の個体に限って言えばイタチザメなんかではないでしょうに。
 神奈川県立生命の星・地球博物館の報告→PDF
 今夏のサメについて同館瀬能氏のコメント
 
京急油壺マリンパークのイタチザメ(幼体):現在は展示してません。

 番組では、海水温の上昇で生態系の異変が生じているとの展開でしたが、サメに関して言えば裏付けとなる事実の明示が少なく、"番組のツカミ"の扱いであったことは間違いないでしょう。
 他の魚種で南日本にいるものが北上した例を単純に取り上げればよいのであって、特定困難なサメである必要性はないのです。

 サメをテーマに積極的な番組作りをしていただくのは大変よろしいことなのですが、バラエティではなく報道番組ですので、もう少し内容を詰めてもらいたいところです。
 サメに関わる方々の沽券にもかかわるので、見た直後は「なんじゃこりゃあああ」が止まりませんでした。

 受信料払ってるから文句の一つも言わせてください、NHKさん。
 深海サメ続編マダー?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン

(サメコラムにしたいですが、ただの文句なのでこちらで投稿します)

2015年9月7日月曜日

サメ食文化に関する論文(日本調理科学会誌)

東京の某スーパーで売られていたネズミザメの切り身

 サメ好きのサメへの関心は、サメという種そのものへの興味とともに、実際のサメ食へもベクトルは向かいます。
 (この辺は、犬や猫が好きだからと言ってそれを食べたいかと思われるのと一線を画しています。
 サメは愛玩するものではなく、いわば探究心や知的好奇心の対象で、個人的にはトヨタマヒメ伝説に見られる、南方にルーツを持つ日本人の祖先たちが持っていたある種の崇拝にも近い意味を帯びていると思ってるが…んなこたーない)

 かつて東京住いであった頃に、サメ食になじみのない地方出身ながら、下町のスーパーに並ぶサメの切り身を見て、色々と料理を試していました。
 →サメを食べよう!

 恐らくこういった範疇からは外れると思いますが、日本中のサメを常食する地域での食習慣についての論文が発表されました。

 
  近現代におけるサメの食習慣  (日本調理科学会誌)
  就実短期大学 畦(うね)五月 准教授

 詳しい内容は未読ですが、アブストラクトにはサメ・エイを素材にした食習慣について調理法などの観点からサメ食の文化的な意味に触れられていました。
 サメ食に特別な意味を持たせることで地域が受け継いできた食への精神を知ることができるでしょう。(いずれ目を通すつもりです)

 おかずの一品として私のように興味でチャレンジするのは邪道なのかもしれません。でも個人的には、関係なく日本人はもっとサメを食べていいはずだと思っています。
 サメのタレを伊勢で購入した際に、魚屋の大将が言うには「僕らの子供の頃は、学校のお弁当に入ってたんだよなぁ」とのこと。 →サメのタレを食べてみた
 
 青森のサメすくめ、栃木のモロ、伊勢のタレ、三次のワニ料理、鐘崎カズノコetc
 郷土のサメ料理、興味ある方は調べてみてください。
Haie調理:モウカ(ネズミザメ)のイタリアン風
  (ちなみにこの論文の掲載は海外のニュースレターで知りました)

鐘崎かずのこ(ノウサバ):ホシザメを使った料理

2015年9月4日金曜日

スマスイに新たなメジロ系のサメ



須磨水族園に新たなメジロザメの仲間が加入

 もう二年も前になりますが、スマスイでサメ展が行われた時のこと…図らずもサメ仲間の皆さんから知らされて「波の大水槽」にメジロザメの一種がいることを確認しました。
 その後の公式発表で「クロトガリザメ」と同定(種を特定)されました。
 以来スマスイに行くたび、この子の成長を見るのがとても楽しみになっています。

 数ヶ月ぶりに訪問し、やや大きくなり元気に泳ぐ姿を見せてくれましたが、同じような姿のサメがもう一匹…増えてる!!

 しかもおなかがパンパンなのは、混泳しているイワシをたらふく食っているからなのでしょうか。さらにクロトガリザメと確認された先住者よりもクロトガリザメらしい感じなのです。
(この辺はそのー、サメ好きならわかるアレなんですが、背びれの形が小さめでカーブかかっててとか、ムックリ・シュッな感じとか……わかりませんよねorz)

  しかし断定するには早計です。とりあえず写真を撮りまくって(なるべく貼りつかないようにしてますけど)、どうにかこうにか判断できるように材料を整えま した。isharkfinも駆使してやる! 「日本産魚類検索 全種の同定」もわかる範囲で参照する! 「Field Guide for Sharks of the Genus Carcharhinus」も読める範囲で見る! それでも自信ないわぁ。

 園側に聞いた方が早いのは承知ですが、この何ザメか悩む楽しみも一つ私の趣味嗜好なのですよ。


 
 スマスイのサメ度が上がって私も嬉しい。
写真下が先客のクロトガリザメ、上が新参者のメジロザメ系。  

2015/8/23 サメ画像掲示板再掲

2015年9月3日木曜日

ウバザメの頭部を3Dスキャンで再現!(Museum Victoria)

 

今年の六月にオーストラリア南東部ヴィクトリア州のポートランドで捕獲された6.3mのウバザメ。
 国立博物館を所管するミュージアム・ヴィクトリア(Museum Victoria)が頭部とヒレを取得したようですが、その過程でウバザメの頭部を詳細に3Dスキャンするという試みがなされました。

http://www.theage.com.au/technology/sci-tech/shark-gets-his-head-checked--for-science-20150814-giz1kg.html

動画で紹介されたスキャン画像は、まるで本物かのような出来栄え。
標本化するにあたって、剥製や液浸といった方法がとられることが多い中でそういった加工前のデータを鮮明な画像として残すことに意義を感じました。


アクアワールド大洗で展示されているウバザメの剥製標本(8.6mのオス)


 コストのかかる標本化ができない場合、こういった手法で正確なデータを取得することは、いたみやすい標本を時間をかけずに計測できる面もあるようです。実際に一時間ほどでスキャニングは終わったそう。

 日本でも大型種が見つかった場合、例えばメガマウスなどで実用できるのではないでしょうか。



(京急油壺マリンパーク所有のウバザメ頭部液浸標本)
2015/8/28 サメ画像掲示板投稿 再掲

2015年9月2日水曜日

レアサメ情報!日本海産エビスザメの展示(丹後魚っ知館)


 
超貴重なエビスザメの展示

 1989年に京都の水族館として大阪海遊館よりも先んじて開館した「丹後魚っ知館」。
 関電の研究所内の施設なのですが、付帯施設とは思えないほどしっかりした水族館です。しかし実はアクセスの悪さで今回が初訪問


エントランス部分

  京都の南北を背骨のようにして連ねる「京都縦貫道」が今夏開通してその事情が変化し、市内に住む私にとって名古屋に行くよりも遠かったこの丹後エリアが近 くなりました。そこへ「レアサメ」として知られるエビスザメの展示に同館が成功したと聞き、ぼろいマイカーをすっ飛ばして逢いに行きました。

 こちらのメイン水槽で元気に泳ぐ姿を見て、惚れ惚れとしました。
 やはり風格が違う。
 しかも商売繁盛の「エビス」さま。エラも7対、こんな目出度いサメはいないでしょう!
1.4mほどで存在感たっぷりのエビスザメ

 8月最後の日曜日。多数訪れた来館者の反応もその辺が伝わるのか、なかなかの関心ぶりでした。
 エビスは、他館での飼育例もありますが今時点では同館のみの展示です(JAZA調べ)。しかも水族館の目と鼻の先の定置網で捕れたというのだから驚きです。
 2月に漁師さんから分けていただいて、予備水槽で試行錯誤しながらなんとか餌付けして、水温調節に気を遣いながら春に展示デビューしたとのこと。バックヤードの苦労が浮かばれ、サメ好きとしてもめちゃんこ嬉しい。
 
 ちなみにサメチェックでは、トラフザメ、エビスザメ、ドチザメ、エイラクブカ、シロザメ、ホシザメ、アブラツノザメ、トラザメ(+卵)、ナヌカザメ(+卵)、ネコザメ、イヌザメ(計11種)と、エイも豊富でなかなかのサメ度。
 特にアブラツノザメ(北海道産)も関西ではレア種です。

北海道産のアブラツノザメ 関西の展示は稀


 (スタッフの皆さま、お忙しいところご対応いただきましてありがとうございました)
2015/8/31 サメ掲示板より転記

サメ Haieのナカミ から フロク開設のお知らせ

 

(私の愛するカスザメ:須磨海浜水族園にて)

サメに特化したサイト「サメ Haieのナカミ」 を主催しております「Haie(ハイエ)」と申します。

 2004年11月よりサメの放談という名のコラムを書き続けて、早11年目
 いまさらながらブログを開設することとなりました。

 開設に至ったのは、拙サイトの掲示板が非常に使いづらいということから、 それに代わる媒体として機能を持たせるためです。

 早い話が、
 掲示板のようにブログを使います。ということです。

 なので、従来のコラムは本家のサイトで続けますが、お知らせ的な投稿に関してはこのブログ、もとい「フロク」で補いたいと思います。

 以上、Haieよりお知らせでした。

本家サイト(公開終了)