サメ仲間のK氏がサメのイラストを日々投稿するという、サメ絵師masaとしてご活躍なのを尻目に私も拙いながら何か始めようと思い至ったわけであります。
『サメを題材にした和歌を詠もう』
百人一首のサメ版という需要のありかを総ツッコミされそうな企画をおっぱじめます。
その名も「『SHARK』に一首」
何か新しいことを始めるのに、遅すぎることはないとどなたかが言っていました。まぁ三日坊主とならず、続けばお慰み。ちなみにYoutubeで、沼口麻子さんとやったネット番組「ぶぶサメ」でいくつかご紹介したものも含まれますので、厳密には「新しい」ことではありませんことはお断りしておきます。
とりあえず以前ご紹介した分も含めて何首(種?)かはストックがあるので、それぐらいは何とかなるのではとずいぶん高をくくって始めました。
日々更新となるか、見ものですぞ、こりゃ。
では改めて。
「我が海は 駿河の深みフカが棲む そこにオンデンと 人は言うなり」
駿河湾を代表する、4mを超す巨大な深海ザメ「オンデンザメ」
学名: Somniosus pacificus
ふじのくに地球環境史ミュージアムに展示中の2.8mの個体、多分子ども(未成熟)。 目が小さく、嗅覚を頼る索餌ではないか? |
漢字では「隠田鮫」と書くそうですが由来が不明です。
「隠田」とは文字通り年貢を免れた秘蔵の「隠し田」で、人知れず深海魚やその遺骸を貪り漁師の網をかいくぐる巨体のイメージなのでしょうか。おもに山野にあった隠田をサメに重ねあわせるネーミングセンスはなかなかイカしているじゃありませんか。
句は「そこにおんで!(居る、の関西弁)」の韻を踏み、深海ザメ43種が棲むという駿河湾の深海で存在感を示す巨体を表現しています。
1990年代に駿河湾を調査したフランスの深海潜水艇ノチール号で映像に収められたものをご覧になった方も多いと思いますが、その時は7mを超すとも思われるほどの巨体でした。
最近では、大西洋に棲む同属のニシオンデンザメが、目玉(水晶体)の放射性炭素同位体年代測定によって400歳近い寿命とも言われています。
代謝の緩慢なサメが大きく成長するのに、安定した環境と豊富なエサが不可欠なのでしょう。
ちなみに「隠田」は中世・近世に至るまで免れ明治以降に発見されたものも多く、400年ほど見つからなかった隠田もあるらしいのです。つまり和名の命名者はオンデンザメの寿命を知っていた可能性が・・・!?
元句は「我が庵は 都のたつみしかぞすむ 世をうぢ山と人はいふなり」。
世を隠遁し、都の東南宇治の山奥で暮らした喜撰法師の一首です。喜撰法師とオンデンザメのシンクロをお楽しみいただけましたでしょうか。
では今日はこの辺で。
参考文献:『駿河湾学』(東海大学出版) 『進化の法則は北極のサメが知っていた』 (河出新書)
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