10月26日早朝、県南部の糸満市沖でスタンドアップパドルボードを楽しんでいた男性がサメに襲われる事故が発生。
沖縄タイムスの記事
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=138864
沖縄本島でのサメの咬傷(こうしょう)事故は、たびたび報告が上がっていますが、今夏の騒動以来マスコミはこぞって取り上げているようです。
サメの事故で多い時間帯が早朝夕方で今回もそこにあてはまったのですが、右足を噛まれたものの幸いにして自力で海を出て行けるほどだったようです。
ちなみにスタンドアップパドルボード(SUP)とは、サーフボードで立漕ぎするスポーツのようです。基本的には沖へは座ってパドリングするので海に手足を漬けることはないようですが、今回はどうもボードに突撃されて海に落ちたとの話です。
泳ぐ中で、サメの口に足が当たりケガを負ったとの話で、被害者の動揺ぶりがうかがえます。
さて、このサメは何ザメであったか。
情報があまりにも少なすぎて特定できかねますが、この海域の常連であるイタチザメ、オオメジロザメの可能性が高そうです。
大型のサメの場合、ファーストアタックの試し噛みで四肢をもぎ取られることもあるので恐ろしい限りです。
一方でこの糸満市にとってこの事故がなんともタイミングの悪い出来事だったようで、今週末に同市で開かれるサーフィン大会が延期の憂き目にあうこととなったそうです。
イベントの中止は、やはり地元が潤う機会をサメによって逸失させられたとの認識を覚えてしまうことでしょう。
サメ憎しという怨嗟の声がサメに向かうことがないよう祈るばかりですが、こういったイベントの安全確保の具体的な対策が、実施しないという選択肢であることは一見すると妥当なように見えます。
しかし一方でサメは普通に海にいるもので、足繁く通うサーファーであれば一度くらいサメを見たという方も少なくないはず。
海を親しむ人間にとってサメは恐怖の対象の一つですが、あくまでリスクの一つに過ぎないという見方もできます。
時化やうねり、突風、咬むウミヘビや猛毒を持つクラゲなど海には危険な存在がいるでしょう。
海に生身で赴くのは、その辺も織り込み済みだと考えられなくもないのです。
つまりサメの襲撃のリスクが高まったと判断するのも人間の都合です。
仮に実施したとして、責任論が噴出した場合、主催者側への風当たりは相当厳しいことでしょう。リスクを意識するかしないかは、考え一つに委ねられています。
サメのいない海などない。(…死海は湖)
海でレジャーを楽しむのもリスクを伴います。しかしサメは多くの中のわずかな一つにしかすぎないとも言えます。
サメが人間の意志を汲み取ることは期待できないので、サメが襲撃するリスクを見直して、時間帯や海況などが判断材料となれば、サメとの遭遇率を下げるにはどうすればよいのか、より具体的な対策をとることもできるでしょう。
人間の都合をもう少しサメ寄りにしていただく、それはサメを忌避するのではなくて彼らの行動パターンを知るということでもあるでしょう。
彼らは海を楽しむものに嫌がらせをするために現れるのではありません。
ごく当たり前の話ですが、彼らは彼らとして海で精いっぱい生を全うしている尊き生命なのです。
海を愛するならサメのことも知ってください。何億年も前から海で暮らしてきた先達として、常にそこにいる者たちです。
しいて言えば、私たちが海に出ることはサメのテリトリーにお邪魔するくらいの気持ちで臨むべきなのでしょう。
糸満市の公式ツイッターでは、「海に行く時は周囲の人に伝えておくこと、1人で海に入らないこと、暗い時間帯は避けること、サメを見たらすぐに海から上がること」を呼びかけ、適切な注意を行っておられるようです。
報道ももう一歩踏み出してほしいのが本音ですが、「サメは危ない」を頑迷に伝える使命をメディアは担っておられるのだと思うようにしております。
かつてサーファーとして名を馳せ、石垣島でサメ類の研究をされていた故矢野和成博士を思い出します。
私ごとき陸の人間が口幅ったいことを承知で話すのはお恥ずかしい限りです。
海は楽しく、サメは美しい。
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