去る3月18日金曜日、東京は池袋(雑司ヶ谷)にある、天狼院書店さまで、シャークジャーナリスト沼口麻子さん主催の「サメ談話会」が催されました。
こちらでは、天狼院書店さまが趣味や目的を共通とした「部」を設けておられ、例えば、ライティング講座やビジネススキル向上などの部で定例会を行われています。その一つとして「サメ部」が存在し、サメ談話会としてサメ好きの交流や意見交換などが月に一度この場で催されるのです。
各部会の開催日に応じて書棚のテーマがあるカレンダー仕様。斬新! |
そして今回のテーマは「ネズミザメとメジロザメの違い」。いわゆるサメ界のトップスターが居並ぶホホジロザメなどの「ネズミザメ目」、オオメジロザメやイタチザメといった危なめのサメをも含む「メジロザメ目」、この2者の比較ということですね。
以前の講座が「バケアオザメについて語ろう」なんていう超マイナー路線だったのに比べれば割ととっつきやすいテーマかと思います。
さて私が東京に来るのはほぼ10年ぶり。しかも当時もあまり用事のなかった池袋界隈。
宿を新横浜に設定したため、そこから向かいました。
東横線で渋谷乗り換えしないと…「副都心線直通?」。私の知らない間に営団、もといメトロの新線が開通して会場の最寄り駅となっていたのです。便利になったもんだ。
東京メトロ副都心線の雑司ヶ谷(ぞうしがや)駅で降り、北向きに歩いて向かえばいいのですが、お店の最短最寄駅は「都電雑司ヶ谷駅」。メトロの雑司ヶ谷駅はその都電のひと駅南の「鬼子母神前駅」の乗換駅でもあるのです。ややこしい!
東京時代は都電の走る町に住んでましたので、なつかしさと全区間170円(10円値上がりしてた!)で乗れる便利さもあいまって乗りました。せわしない街にこのようなのんびりした電車があるというのは奇跡に近いですね。
埼玉方面からお越しの場合は、京浜東北線・南北線の王子駅から都電に乗れます。
山手線では大塚駅でも都電に乗れます。
千代田線・常磐線、京成線でお越しの方は町屋駅でも乗れます。
くどいのでこの辺で止めます。(いずれも副都心線以外早稲田方向)
そして都電雑司ヶ谷駅からのルートは、駅西側にあるコンビニのミニストップを目印にやや曲がった一本道の左側を歩いていきますと、コイン駐車場の並びに「甲州屋」という一見居酒屋みたいなソバ屋のあるビルがありまして、そこの2F部分、ビルの右側に細い階段がありますのでそこから入ります。(落語調なのはお許しを)
穴場とか隠れ家風といったお店の雰囲気です。
お店に入りますと右側にレジカウンターがあり、ちょっとした飲み物なども頼めます。でも1Fのお蕎麦の出前を持ってきてくれたりはしないようです。
私はそのまま入ってしまい、あとで会費とワンドリンクチャージを払いました。 (¥3000+α)
沼口さんが部屋の奥で厳つめの男性(店長さんのようです)とお話し中でした。少し待って話しかけますと、遠いところありがとうございますと歓待されました。私もまさかここまで来ることになろうとは…。たまたま予定が合ったので少しのぞいてみようというのが偽らざるところです。
かねてから噂には聞いていましたが、いざ来てみると本屋さんとカフェの間くらいのスタンスで気に入った本を探しながら読みつつもくつろげるというものです。
そして今回のような好事家のイベント会場にもなるフレキシブルな営業形態でもあります。
すでに会場入りされておられる方もいらっしゃいますが…皆さん大人しくお待ちです。
皆さんどんなサメ好き、サメマニアの顔をお持ちなのでしょうと一人ワクワクしておりました。
常連さんばかりなのかな、と思いましたがそうでもなく、また談話会のメンバーも毎回違うそうです。たしかに店内のキャパを考えますと、10名の会合でまあまあ、それ以上となるとなかなか大変な状態かもしれないですね。
店内に炬燵が! 寝落ちしそうな魔の空間 |
19時より私を含め10名の方がお集まりになり、談話会の始まりです。21時までお世話になります。
まずは自己紹介から、とここで注意事項。
沼口さん曰く、サメ好きの方は基本おしゃべりで自己紹介が長くなり、全員終えるころには終わりの時間になるとのことで、「手短に」と促され、まずは私から…(なんで!?)。
私の場合、サメのHPを10何年やってますぐらいのあっさりしたものです。詳しくはWebで、並みの手抜きCMのようで正味2分ぐらい。
私以外の方は、ジョーズ属性の方、水族館属性の方、生物学属性の方、ダイバー属性の方など多彩な顔ぶれでした。関東近辺がお住まいで多かったのですが、関西からも海外サメ旅行の前日というホットな方もおられ、驚きました。
特に勇気をもってこの場に臨んだ無属性のサメ好きの方などもおられ、談話会の間口の広さを感じました。
では本編。(やっとか)
今回のテーマ、ネズミザメ(の仲間)とメジロザメ(の仲間)との違い。
沼口さんがコンビーナー となって、進行、話題の提供や補足などを行い、私がフリップ持ちのアシスタントのような役回りでおりました。(どっちかいうたらスタッフ目線)
用語説明の折には、持参のミニホワイトボードを使って字を書いたり絵を描いたりしながら、参加者の理解と情報の相互作用を確認しながら談話会は進みました。
この2分類のサメの体の特徴から違いを導き出すことでまず話題に挙がったのは、目の特徴。
いわゆる「瞬膜(しゅんまく:nictitating membrane)」の有無でした。(メジロザメ目では4つの科に限り備えているようです) 。なかなかマニアックなはじまりですな。
メジロザメの仲間がもつ、これはいわゆる「まぶた」で、獲物を襲う時に目の下から薄い膜で眼球を保護する仕組みがあるというもの。まぶしくて閉じる性質はないと、先般の海遊館講座では教わりました。
対して、ネズミザメは獲物を襲う時に眼球を保護するという目的は同じながら、瞬膜は備えておらず、眼球をひっくり返すことでそうしているとのことでした。
これらの説明の時、書店にあるサメ図鑑などの書籍を持ち出して参照するという、本屋さんならではの活用術が生かされました。これは好都合。
また頭部や顎の違い、体躯(ゴツさ)の特徴、そして尾びれの形状まで、話は追い及びました。
尾びれの話題で、沼口さんからその特徴について試問を受けた時はビックリしました。不意打ちとか心臓に悪い。(答えられてほっとしましたが)
私をあまり試さないで~ボロがすぐ出るから(笑) ※非研究者
サメ勉強会ぽい流れになる感じですが、参加者の方からもぽつぽつと意見や質問も出てなかなか濃い内容で話は進みました。
そして参加者のS氏から研究されておられるサメの歯にまつわるレジュメが配られ、歯から見る違いというものを導き出しました。当日は沼口さんが入手した「バケアオザメ」の顎標本などもありそれらを使って実際に見て触れるといった体験を通じてサメを知る機会もありました。
ドリンクを飲みつつ、本を眺め、座って語れる最強の布陣。 |
そのなかで、サメの遺伝子情報ではネズミザメとメジロザメの仲間は割と近くて、ただ出現時期などがネズミザメがやや古い時代(数千万年前)なのに対してメジロザメでは数百万年前の時代から現代にいたる時期が種の繁栄のピークではなかろうかという考察でした。
メジロザメの仲間でも特徴的な「シュモクザメ」の話題も飛び交い、シュモクザメの危険性はかなり低いとか、ヒラシュモクザメの泳ぎの特徴がユニークとか、頭の形と進化の関連性、伊豆と与那国で出てくるシュモクザメの群れの違い、はたまたシュモクザメはサメの中でも種の出現がかなり新しいということまで話題が及びました。シュモクはネタの宝庫ですなぁ。
またシャークジャーナリストとして沼口さんが取材した神子元島のシュモクザメ調査の報告もありました。経過報告が楽しみな研究ですね。
オフレコの情報も飛び交う中、会に参加されないお客さんと思しき方からも「チコとサメ」という古い映画の話題に反応されたり、USJのサメグッズについてなど参加者同士の話題も方々で上がり、特に私の場合、次の日に都内の水族館でどこを回ろうかと考えていたところ、居合わせた方が関係者の方でそちらにお伺いすることに。ノコギリエイ推しとのことで興味が湧きました。
なんだかんだで時間も予定を大きく超えて盛り上がり、サメ好き同志の交流は続きました。私のHPの名刺なんか欲しがる方は少ないだろうと思ってましたら予想以上に手が伸びて驚きました。もっと刷ってくりゃよかった。
そして例によって記念撮影。
私は顔ばれ防止用のジンベエパペットを着用しましたが、書店の女性スタッフの方が、「カワイイー」と注目されました。なので海遊館で売ってますよと宣伝しておきました。(だから関係者じゃないって!)
有志の二次会にもチラッと参加しました。なにせ次の日の予定もあり宿が新横浜設定なので。
短い時間ながら、これからシロワニを見に海外へ行かれるという方に、「シロワニは統計上、人を襲ったサメ第4位ですよ」と話すなど「いけず」な情報を差し上げてみたりしていました。
関西サメ男の会(仮)の参考にしようと談話会に臨みましたが、サメ好きの濃さに圧倒されながらも、 負けないようなサメ同士の交流ができる場をとの思いも強くなりました。
書店のスタッフさんとお話する中で東京から京都へもこちらの天狼院書店さんは進出予定とのこと。これは何と有力な情報! 京都でも関西サメ男の会(仮)の交流の場にできたらよいなとお話をいたしました。
持参したネタの半分も活用できず終えたのが残念な一方、サメ好きの方と広く交流ができたことは大きな収穫でした。皆さん関西訪問の折りはどうぞよろしくお願いします。
サメ好きの皆さんからパワーをいただき、充実した時間が過ごせたように思えます。私が関東へ来る日付を設定した直後に開催日を知ったので、今回参加された方との出会いは本当に奇跡だと思います。たくさんお話しできた方も、そうでない方も、またサメ縁フカくお付き合いできればよいなと思いました。
それはそうと海遊館レポートより先にあげてしまってスミマセン。きちんと報告しますのでお楽しみに!
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